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猫崎(敦賀市)
   
猫崎と名付けしことよ秋の海
星野立子


自然が生んだ猫のような岬と秋の海の妙。

 猫崎とは地名ではない。しかし猫が獲物を狙う姿に似ていることから、猫崎と名付けた昔の人達の発想は、なかなか楽しいものがある。先入観をもって見るからだろうか、確かに遠くから見ると猫の姿に見えてくるから不思議だ。そして感情豊かな星野立子も、ここで同じように見つめて、「猫崎と名付けられたこの秋の海の岬。静かで穏やかで、まるで猫がのんびりくつろいでいるよう」と詠んだ。父である高浜虚子の唱える花鳥諷詠や客観写 生を基本としている立子ゆえに、自然が作りだした不思議な形に驚き、面 白さを感じたのだろう。
 この辺りの秋の風景は、夏の賑わいもさめて、地区全体がのんびりしたムードに包まれ、まるで立子が詠んだ”猫がくつろいでいる“ようにも思える。海が静まり返った秋だからこそ目に入り、猫のようにも見える猫崎。岬は動くことはないが、緑の木々に覆われた猫崎の姿を見ているうちに、もしかすると立子は歩き回る猫の姿を想像したのかもしれない。


人物紹介
星野立子 (一九〇三〜一九八四)
高浜虚子の次女。大正15年(1926)頃から俳句を始める。虚子の勧めで昭和5年(1930)に女性初の主宰誌『玉藻』を創刊し、女流俳句の確立に尽力する。昭和28年には南北アメリカへ、31年には文化使節団としてヨーロッパを訪問、俳句活動を盛んに行った。句風は柔らかく素直な気持ちで自然を詠んだものが多い。句集『立子句集』、著作『玉藻俳話』などがある。昭和50年、勲四等宝冠章を受賞。

名所を巡る

猫崎は常宮湾に突きだした岬。名子地区の先、縄間から弁天岩の方を見ると、まさに背中を丸めた猫のような“猫崎”が見えてくる。(敦賀市二村)

弁天岩
海中に雄島と雌島の2つの夫婦岩があり、弁財天を祀ってあることから、弁天岩と呼ばれる。(敦賀市二村)