 | 田楽を初めて食べし古き茶屋 山椒と味噌と雨の匂いと | | 俵万智 | |  |  |  | 街のオアシスに漂う、心地良い匂いを探して。 足羽山は全体が公園になっていて、動植物の楽園、県民のオアシスともいわれている。ここで歌を詠んだのが俵万智だ。女性らしい繊細さとユーモアのある発想、そして鋭い観察眼で詠まれた数々の歌は、現代短歌史に新風を吹き込んだ。「初めて田楽を食べた古い茶屋には、山椒と味噌のいい香りと温かい春の雨の匂いが漂っていて、心地よかった」。足羽山の茶屋では、季節ごとの料理と山の自然を楽しむことができる。彼女が出掛けた日は雨だったが、春独特の温かい雨と瑞々しく輝いた新緑、そして初めての田楽など、すべてが山の楽しさを充分に物語ってくれたのだろう。季節を目で追い、彼女のようにいろんな匂いに敏感になるのも面白い。足羽山はそんな楽しさが一年を通して味わえる貴重な場所なのだ。 もし人麻呂が恋人と共に気比の海を見ていたら、どんな感じだったのだろう。多分、気比の穏やかさと同じように、二人でいるというだけで満足だったのではないだろうか。 |  俵万智 (一九六二〜) 大阪生まれ。中・高校時代を武生で過ごす。大学生の頃、歌人佐々木幸綱氏の影響を受け本格的に短歌を始める。卒業後、高校の国語教員となり、作歌活動との両立を続ける。昭和62年(1987)には第32回角川短歌賞を受賞。さらに歌集『サラダ記念日』がベストセラーとなる。平成元年(1989)に教職を辞め作歌活動に専念。歌集やエッセイ、翻訳なども手がける。歌集『チョコレート革命』など著書多数。
| |   115ヘクタールもある足羽山には、植物園や福井市自然史博物館、ミニ動物園などがある。また桜や紫陽花など、四季の花々を愛でたり、年間を通して多種類の野鳥を観察することもできる。(福井市足羽) |  汐越の松 吉崎の対岸にある汐越(塩越)。この老松は現在、ゴルフ場内に横たわっている。(あわら市浜坂) |  歌碑 足羽山公園遊園地内のミニ動物園に歌碑がある。(福井市山奥町) | | |