初春の若狭で展開された絶妙なトリック。
内田康夫氏のミステリーは、絶妙なトリックだけでなく、旅情あふれる描写
にも定評がある。若狭を舞台にした本作品もまた”初春の若狭紀行“という側面
を持った作品に仕上がっており、主人公の目を通してみずみずしい若狭の風景が描かれている。
事件のプロローグとトリックの舞台でもある三方五湖周辺。探偵・浅見光彦が事件を離れ、自分の楽しみとして訪れる小浜、若狭の海。著者の丹念な取材で描き出された情景には、実在する場所や飲食店が登場。ミステリーの緊張感と相まって、実際の若狭以上の存在感をもち読者に迫る。
探偵・浅見と同じルートをたどり、事件のあったあの場所へ、それとも小浜の町へ行こうか。そんな衝動に思わず駆られる内容となっている。
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若狭殺人事件
(光文社・1992年発行)
若狭を舞台に、旅行ルポライター兼探偵の浅見光彦が、東京と日向湖、2つの地域で起きた殺人事件の真相を解き明かす。探偵・浅見の冴えた推理と、登場人物との人情味溢れるやりとりが見どころである。旅情ミステリーシリーズの第13作目にあたる。このミステリーシリーズは、多くのファンに支持されている作品である。
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内田康夫
(うちだ・やすお)
昭和9年(1934)東京都生まれ。推理作家。東洋大学文学部を卒業後、コピーライター、テレビCM制作会社を経て、『死者の木霊』で作家としてデビュー。特に旅行ルポライター浅見光彦を探偵とするシリーズは人気を博し、映画化、ドラマ化されたものも数多い。主な作品は『後鳥羽伝説殺人事件』『「萩原朔太郎」の亡霊』『浅見光彦のミステリー紀行』『菊池伝説殺人事件』など。
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