老舗パン屋の名物・大福パンは、パリで誕生した
49 view
老舗パン屋の名物・大福パンは、パリで誕生した
来年、創業 100 年を迎えるという老舗である。
初代は東京・銀座の「木村屋」で修行し、二代目はヨーロッパで伝統的なパンを学んで、今の味が形作られたという。


その名物が「大福あんぱん」だ。

ブリオッシュ生地の中に大福を丸ごと包み、焼き上げた一品である。
さっそく店頭で購入し、いただく。
食べた瞬間、思った。
――これを考えた人は天才かもしれない、と。
あんぱんに大福の餅生地が加わることで、幸せ感が倍増する。
香ばしいブリオッシュをあむっと噛むと、薄い餅皮がむにゅっと伸びて粘り、そこからあんこが流れ込んでくる。
パンから突然あんこではなく、餅の食感を経てからのあんこ。
この“段階構成”が良い。
つまり、サクッ → ふんわり → むにゅにゅにゅ → あんこ、なのである。
初めての体験に、歯が喜んでいる。
しばらく経つと、またあの食感を求めて買いに行きたくなる、そんなあんぱんなのであった。

ほかのパンもいただこう。
クロワッサンは、噛んだ瞬間にバターの香ばしさがふわりと広がり、思わず心が笑う。

コッペパンに砂糖とバターを挟んだ懐かしの「バタード」は、むにゅにゅとした食感と共に、甘さと油脂が口いっぱいに広がる。
糖分と油脂分という、人間の本能に直接訴えかける、危険な味である。



また、もちっとした三日月型フランスパンに粗挽きソーセージとマスタードを挟んで焼き上げた「シュバル」もよい。

人気の「大福あんぱん」は、二代目がパリに住む大福餅好きの友人を驚かせようと考案し、お土産にして持っていったのが始まりだという。
パンの中に大福を入れてしまうあたり、さすが餅好きの県民性である。
ほかにもさまざまな工夫を凝らしたオリジナル商品が並ぶ。

次回は、お腹をすかせてゆっくり訪ねたい。


(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。