伸びる、伸びる。池田町産餅の根性に魅了されたの巻

36 view

「ああ」。

焼き餅を食べて、思わず声が漏れた。
海苔に包まれた醤油味の焼き餅が、思いのほかよく伸びる。

つつっと伸びて伸びて、ようやくちぎれた。
コシが強く、根性がある。
これが池田町のもち米か。

池田町のうるち米ももっちりしているが、もち米が餅になるとさらに力強い。
この店は、地元池田町の神楽餅米を使った餅を、毎朝大量に搗いているのだという。
23年続く店で、昼時になると餅目当てのお客さんが次々にやってくる。

初めて訪れるなら、まず焼き餅を食べ、そのコシの強さと甘みを存分に味わってほしい。

次に「お昼膳」といってみよう。

季節のご飯、天ぷら、惣菜、雑煮がセットになった定食である。

ご飯は2月だったので、節分の小豆を炊き込んだ古代米の赤飯だった。
豆の甘みと米の甘みが抱き合い、ほっこりした気分になる。
春はフキのおこわや五目おこわなど、季節によって変わるのだという。

雑煮は味噌汁である。
具材は入っていない。
池田町の雑煮スタイルだという。
各家庭ではここに鰹節をかけて食べるらしい。
餅のおいしさだけを味わいたい、ということなのだろうか。
極めてシンプルで、全国的にも珍しい雑煮である。

餅を食べて驚いた。

また伸びるのである。

この後いただいた汁粉でも同じように、よく伸びた。

普通、汁物に入れた餅はあまり粘らない。
餅に含まれる水分が汁と結合して柔らかくなり、中には溶けてしまうこともある。
だが池田町の餅はしぶとい。 

雑煮でも汁粉でも、伸びる伸びる。
「餅を食べているぞ」という喜びで、気分が高揚する。

天ぷらは、紫芋とさつまいも、大豆と人参のかき揚げ、しめじ、菊菜。
天ぷらでおこわを食べ、合間に雑煮をすする。
うん、餅好きとしては幸せだなあ。

 

店頭には、よもぎ餅、塩餅、えんどう餅などが並んでいた。

そこで、つい買ってしまったのが「とちもち」である。 

もう最近ではほとんど見かけない。
栃の実のアク抜きに日数がかかり、手間暇がかかるからだろう。

いただくと、懐かしい味がした。
香ばしく、ほんのりと苦みや渋みがある。
味は素朴だが、含まれた養分なのか、静かに腹を満たしていく。
お腹のあたりが春の陽だまりのように温まり、気分がふんわりと安らいでいった。

伸びる、伸びる。池田町産餅の根性に魅了されたの巻

お店の場所はこちら

おもちの母屋 

〒910-2512 

福井県今立郡池田町稲荷37−1

TEL : 0778-44-8338 

http://www.e-ikeda.jp/eat/p004001.html


お問い合わせ先

                  福井県交流文化部誘客推進課

                    TEL:0776-20-0762

                 MAIL:yuukyaku@pref.fukui.lg.jp

マッキー牧元
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。