サラダやスープ、付け合わせなど、細部に宿る誠実な仕事が、主菜を輝かす洋食店

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さりげない佇まいを見せる、小さな洋食屋である。
店に入ると、サービスは20代の女性が2人、料理長は30代後半だろうか。
メニューを開いた瞬間、喉が鳴った。

いきなり一番上に、サーモンムニエル焦がしバターソースがあるではないか。
フランス料理の定番である。

エビフライの自家製タルタルソースも、ハンバーグも、カレーも惹かれる。
だが、ここはソースカツ丼県。
「東京とんかつ会議」のメンバーとしては、カツを頼まなくてはいけない。

カツは2種類。「デミグラスロースカツ」と「厳選豚ロースカツ」である。
悩んだ挙句、「デミグラスロースカツ」をお願いした。

まずサラダとスープが運ばれる。
その二つを見た途端、ここは“できる”と確信した。
サラダを見れば、店の姿勢がわかる。なにより美しい。

見た目だけでなく、酸味が立ったヴィネグレット、みずみずしいトマトとレタス、歯切れの良いキャロットラペ、品よく味付けされたポテサラ。冷やされた皿とともに、もうこれだけで、この店の誠実さが伝わってくる。

そして「デミグラスロースカツ」が運ばれる。

全面にデミグラスがかけられたカツが横たわっている。

一切れを食べると、きめ細かい衣がカリカリと音を立て、口の中にめり込んでいった。
柔らかすぎず、噛みしめる喜びのある肉がいい。
背脂は丁寧に掃除され、肉と衣、ソースが出会う瞬間に嬉しくなる。

そしてデミグラスは甘すぎない。
甘味、苦味、うま味、酸味のバランスがよく、どれひとつ出しゃばることなく、丸く調和している。
そんなソースと肉汁、豚肉の甘い香りが混然一体となり、ご飯が猛烈に恋しくなる。
そして、そのカツを受け止めるご飯がまた美味しいのだ。

いい店を見つけた。
また来よう。

――再訪問を果たした。

今回は欲張って「スペシャルミックスフライ定食」に、カキフライ1個とミニビーフカレーソースをつける。
変わらずサラダとスープが運ばれる。
サラダはやはり美しく、美味しい。

さあ、主役が登場した。

エビフライ2本、カニクリームコロッケ、メンチカツに、追加注文のカキフライとカレーソースが並ぶ。
もう誕生日とクリスマスが同時に来たような、ご馳走である。

まず、尻尾まで衣をつけたエビフライを一口齧る。
「うまっ」。
料理ジャーナリストが迂闊に発してはならぬ言葉を、思わず口にしてしまった。

優しい海老の甘みと、上品なタルタルソースが相まって、ご飯を呼ぶ。
メンチカツは脂感より肉感があり、カキフライはウスターをかけても負けない甘みがある。
カニクリームコロッケはベシャメルソースが優美で、ビーフカレーは“うますぎない”品格がある。

ああ、次に来たらサーモンムニエルかアジフライ、ハンバーグかステーキだな。
福井「レストランオオツカ」にて。

サラダやスープ、付け合わせなど、細部に宿る誠実な仕事が、主菜を輝かす洋食店
マッキー牧元
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。

お店の場所はこちら

レストラン オオツカ 

〒910-0005 

福井県福井市大手3丁目5−18

TEL: 0776-28-3234  


お問い合わせ先

                  福井県交流文化部誘客推進課

                   TEL:0776-20-0762

                 MAIL:yuukyaku@pref.fukui.lg.jp