福井に皇龍あり。大都市の高級店に引けを取らぬ、的確な味付けと技による品格ある味わい

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炒飯をひと口食べて、思わず目を丸くした。
炒飯は、必要最小限の塩で味がぴたりと決まっている。
だからこそ、どこまでも優しい。

さまざまな料理を食べた後に供されたのだが、味に丸みがあるゆえに、レンゲを持つ手が止まらない。
失礼ながら、福井市の郊外で、都心の高級中国飯店でいただくような見事な炒飯に出会うとは思わなかった。

続いて運ばれたラーメンにも唸る。
醤油味はこっくりと濃いが、油脂分は抑えられ、味は穏やかで、これも丸い。
だから懐かしい。
遠い昔に食べたような記憶がよみがえり、心が温かくなった。

しかし心配になって、聞いてみた。

「地元の地元の方には、少し塩分を強めにされるのですか?」
「いや、このままです。だから“味が薄い”“パンチがない”とよくお叱りを受けます。でも変えません。理由をきちんと説明して、理解していただくよう努力しています」

シェフの富士大介さんは、そう言って笑った。

心配になった理由は一つ。
場所が福井市郊外であることもあり、いや、たとえ市の中心部であっても、これほど上品な中国料理が受け入れられるだろうか、と思ったからだ。

しかし彼は、褒められずとも、批判されようとも、正道を歩んでいる。

他の料理もまた、揺るぎがない。

海老焼売に入った筍は、極小の同寸の正方形に切られており、食感が揃うことで、すんなりとエビの旨みを味わえる。

揚げた手羽先を齧れば、凝縮した甘みが一気にあふれ出る。理由を聞けば、1日干してからパリパリに揚げているのだという。

麻婆豆腐は最も大切である豆腐が芯まで熱々で、痺れ・辛味・旨みが舌の上でほどける。

しっとりとしたよだれ鶏も、通常は茹でて冷ました肉にタレをかけるものだが、ここのそれは温かい。
「冷えたら美味しくないから、温めておいて出す」のだという。
そのため鶏肉の味と香りが濃く感じられ、旨みの深いタレと重なって、味が高みに上っていく。

海老マヨネーズは、マヨネーズの味が勝ちすぎる店が多いが、ここではほんのり辛味とナッツの香りを加え、味に深みを出し、魅力的に仕上げている。

小松菜腐乳炒めは、火の通しが精妙で腐乳の量も的確、バランスがよい。

永平寺の猪餅米焼売は、噛みしめる喜びに満ち、猪への敬意を感じる。

 ニュージーランド仔羊の唐辛子炒めは、何より仔羊の香りの立たせ方が素晴らしく、食べる醍醐味にあふれていた。

さらに厚切り青椒肉絲は、的確に加熱されたピーマン、人参、ズッキーニ、ししとう、そして柔らかい牛肉が、見事に一体化している。

どの料理も、一見似たように見えながら、細部に潜む仕事と想いが、優しい品格となって、味のキレを生んでいる。

——もし近所にあれば、通うのになあ。

 

福井に皇龍あり。大都市の高級店に引けを取らぬ、的確な味付けと技による品格ある味わい
マッキー牧元
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外を問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。

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中華料理 皇龍 

〒918-8067 

福井県福井市飯塚町29−101

TEL: 0776-58-3466  

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