美人母娘による喫茶店で朝から満腹スタート

朝からおっちゃんが大挙して集結する、喫茶店があるという。
その店は、静岡の美穂 、佐賀の虹の松原と並ぶ、日本三大松原のひとつである「気比(けひ)の松原」公園の脇にポツンと佇んでいた。
敦賀駅から、車で3.5キロのところである。
バスかシェアサイクルという手もあるらしいが、完璧な郊外であった。
朝10時、すでに店の前には、車が6〜七台止まっている。
入ると、6席のカウンターには、ずらりとおっちゃん1人客が座っていた。
全16席中、11人がおっちゃんである。
まずは「モーニング七百円」をいってみよう。
ドーン。
置かれた瞬間に音が立つような迫力であった。
醤油ドレッシングがかけられ、マヨネーズが添えたサラダに、厚切りトースト、ハム、目玉焼きという布陣である。
目玉焼きがきれいに焼かれ、半熟状態というのがいい。
ハムをトーストに乗せ、ハムトーストにし、
トーストを半熟卵につけて食べる。
ふわふわのトーストとハム、黄身と出会いが楽しい。
食べ終えると11時になって、ランチ営業が始まり、また違うおっちゃんたちが入ってきた。
定食が気になり、追加注文した。
オムライス定食である。
本来定食とは、魚や肉などのおかずをご飯と味噌汁と合わせたセットをいう。
それなのにご飯料理であるオムライスを、定食にしちゃうというのは、どういうことか。
「おおっ」
一同からどよめきが起こった。
味噌汁とサラダ、お新香と飲み物がつくと思っていたら、小鉢が3品もついてくるではないか。
茄子の煮浸し、もやしと青菜の炒め、じゃがいもとエンドウ豆、厚揚げの煮物である。
「さあ、たくさん食べてね」と、言われている。
何か親戚のおばちゃんの家に遊びに来たみたいだなあ。
オムライスは、チキンライスを包んだ薄焼き卵の内側が半熟になっている、正しきオムライスである。
嬉しくなって、玉子焼きとガーリックライスも追加注文する。
玉子焼きは、ご飯が進む甘辛さで、玉ねぎとハム入りのガーリックライスは、ニンニクの効かせ方がいい。
食べるに従ってお腹が空くタイプであり、これを食べてバナナジュースを飲めば、しょっぱい、甘いで、背徳の味になる。
デザートは、ぜんざいにした。
甘み加減を抑えた、品があるぜんざいである。
たっぷりの小豆と角餅2個入りで、これまた嬉しい。
最後に店主にご挨拶した。
お母さんと娘さん2人でやられていて、笑顔が素敵な美人母娘である。
おっちゃんが集まるのは、料理がおいしいせいだが、このお二人がいるからに違いない。
店を出ると、気持ちが充足したせいか、松の緑がより青々しく見えた。