隠されたうなぎを発見して、歓喜するの巻

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隠されたうなぎを発見して、歓喜するの巻

鰻の蒲焼は、関西風の地焼か、関東風の蒸し焼きか。

好みが分かれるところだが、この店では悩まなくていい。

地焼の「鰻丼」と、蒸し焼きの「真蒸し重」の二つが選べるからである。

それでは両方頼もう。

「鰻丼」が運ばれた。

朱塗りの丼にご飯が詰められ、タレ焼きしたうなぎが半匹乗っている。

尻尾が丼の縁にしなだりかかって、ちょいと曲がっている姿が愛おしい。

地焼きながら、あまりカリカリではなくていい。

皮下のコラーゲン感がしっかり感じられる。

つまりくにゆっとした、ほの甘いゼラチン質を感じるのであった、

川魚としての、躍動感のある鰻丼である

丼だから片手に重さを感じながら、食べるのもいい。

硬めのご飯も、鰻丼としては正しい姿勢である。

一方真蒸し重(まむし重)は、背の高い、長方形のお重に入れられて、運ばれた。

ご飯の上に錦糸卵が散らされ、その上には焼いて蒸したという、蒲焼が半匹置かれている。

ここに刻み海苔をかけて食べるのだという。

さあ食べようと、ご飯に箸を刺し入れた。

深い。

ご飯が深い。

ああ。

なんたることだ。

ご飯が深いのには理由があった。

なかに蒲焼が挟んであるではないか。

つまり、ご飯、鰻、ご飯、鰻と、重なっているのであった。

真蒸し重は、蒸してあるだけあって、ふんわりと柔らかい。

肉も皮もゼラチン質も、ふわりとろんと溶けていく。

これはいい。

窓の外には、高さ3メートルはある灯籠や、巨大な池や島もある。

創業73年になるが、初代が作ったものだというと、4代目の若主人が教えてくれた。

折しも紅葉の季節で、色づいた葉たちか、鰻の美味しさに微笑んでいるようだった。

マッキー牧元
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。

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うなぎや 源与門

〒919-1303

福井県三方上中郡若狭町三方52-6

TEL:0770-45-0035

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