老主人の心意気が染みた寿司を食べるの巻

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老主人の心意気が染みた寿司を食べるの巻

「安いっ」。

値段を聞いて、思わず呟いてしまった。

これは安い。

昼のランチといえど、握り寿司の盛り合わせがで一人前1050円だという。

回転寿司並みのお値段、いや回転寿司より安いかもしれない。

握りの布陣は、いか、甘エビ、サーモン、ハマチ、卵、生ハムの握りと、いなり寿司

昔ながらの少し甘い酢飯で、お揚げとも合う、

それにサラダ、エビとエノキ、シシトウの天ぷらのセットである。

「安いですねえ」と、一人で切り盛られる老主人に言うと、

「みんなそう言います」と、笑われた。

さらに「生ハムの握りとは珍しいですね」と、聞くと

「もうやり始めて4.5年になりますが、うちだけしかやってないんじゃないかな」と、目がきらりと光った。

次に「せいこ重」3600円もお願いした。

これは、よくよく混ぜて食べるといい。

内子とミソがご飯にからみ、そこへ外子の食感が入り、身の優しい甘みがからむ。

「店はもう42.3年やっています」と、老主人は言われた。

鮨職人としての装いは、少し変わっていて、ワイシャツにベスト頭に赤いバンダナを巻いていらっしゃる

「赤いバンダナがお似合いですね」というと、

「そうですか」と、嬉しそうな目で微笑み

「この間まで黄色でね。これやっていると、初めてのお客さんでも、話が弾んでね」と、微笑まれた。

長年やってらっしゃってもあぐらをかくことなく、常にお客さんに楽しんでもらうことを考えているようで、その心いきが、このお値打ち値段に反映しているのだろう。

夜に来て、このご主人と話しながら飲んで酔っ払いたい。

ふとそんなことを思った。

マッキー牧元
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。年間700軒ほど国内外問わず外食し、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。そのほか虎ノ門横丁プロデュース、食文化講師など実施。日本ガストロノミー協会副会長、日本食文化会議理事。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊。
7年前に小浜地区の仕事を通じて福井の食材の豊かさに惚れこみ、今回の福井各地の美味しいを探す旅のきっかけとなった。

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新海寿司

〒918-8004

福井県福井市西木田1丁目17ー16

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