ふくいの旬の食カレンダー 秋(9月〜11月)

ふくいの旬の食カレンダー 秋(9月〜11月)

福井県は四季折々の豊かな食材にあふれています。秋(9〜11月)の時期が旬といわれる食材をご紹介します。

越前おろしそば

好環境で育まれる、 歴史ある越前のそば。

越前おろしそばは通常、 ネギやかつお節を添えます。 風味のあるそばとピリッと辛みのある大根おろしとの相性は抜群です。

そばに大根おろしを添えたシンプルな料理ですが、その味は奥深く、 最近では長寿食としても注目されています。

今回は、越前おろしそばのおいしさの歴史を紐解いてみました。


福井でのそばの歴史は、 朝倉孝景が一乗谷に築城した頃 (1473) から始まっている と伝えられています。 いくつもの合戦を経た結果、 籠城用食糧としてそばが重宝されたとか。というのも、 そばは播種から約75日間という短期間で収穫できたからです。 ただその頃も、 そばがきやそばだんごが主だったようです。


さて、福井で「そばきり」 が登場するのは1601年。 府中 (現越前市)の城主となった 本多富正公が、 そば師の金子権左衛門を伴って赴任したのを機に、 そばの食べ方が変わり ました。 麺状そばに加え、大根おろしを添える食べ方が始まったと伝えられています。

麺状のそばに大根おろし。 この組み合わせは庶民にも受け入れられ、 その後、福井県と 福井県玄そば振興協議会の指導と協力によりそば栽培と消費量が拡大、そして現在のおろしそば人気へとつながっていくのです。


さらに福井のおろしそばが 「越前おろしそば」として全国に広まったのは、 昭和22年 以降。昭和22年10月、 昭和天皇が福井に来られた際、 2杯ものおろしそばを召し上がら れました。その後、皇居に戻られた後、 召し上がられたおろしそばを懐かしみがられ、「越前のそばは大変おいしかった」 というお言葉に由来しています。


また、「越前おろしそば」 のおいしさは、玄そばの品質の高さや製粉技術にも深く関係しています。 その理由は、 そばの良否は栽培地の緯度に関係があるからです。

北緯36度線〜38度線の地帯には、味や風味の高いそば粉が多いと言われています。 福 井の位置は北緯36度線上。 おいしい玄そばが出来る条件を満たしていることが分かりま す。

そして製粉方法。 これも昔ながらの石臼挽きを、福井県下すべての製粉企業が行っています。丁寧に時間をかけて行われる石臼挽きにより、味はもちろん、 そば独特の風味が損なわることがないのです。


豪快にぶっかけ

各家庭、あるいは大勢で食べる時には“ぶっかけ”が便 利。 薬味で好みの味に調節します。 県外の方で初め て“ぶっかけ”を見た多くは、 その豪快ぶりに驚きま す。 しかし食べてその美味しさに納得、 “ぶっかけ”フ ァンになる人がほとんどです。


現在、福井県内でのおろしそばの食べ方はほぼ3通り。

○ダシと大根おろしを別に入れる

○ダシに大根おろしを入れる

○ダシに大根おろしの汁を入れる

それぞれに味は微妙に違うように感じますが、 福井県産の玄そばを使用した「越前 おろしそば」。 どれも、 老弱男女問わずおいしく食べることのできる味なのです。


安心への取り組み

福井県玄そば振興協議会では昭和40年代より、 転作政策としてそば栽培を推進。正しい栽培法や保管法などを指導しています。 今もその活動は続けられ、作付面積及び 収穫量は年々増加中です。 現在、福井県では県産そばの消費拡大と流通促進、越前おろしそばのブランド化促進のため、 「おいしい福井県産そば使用店認証制度」を設定 (現在70店舗) しています。



福井の地で「おろしそば」といえば冷たいまま、 豪快に大根おろしを乗せてだ し汁をかけ味わうのが一般的です。 郷土料理百選の一つに選ばれた 「越前おろしそば」をぜひご賞味ください。

名脇役は、辛いのが大人気!
名脇役は、辛いのが大人気!
おろしそばに欠かせないのが大根です。 福井県内では、ピリッと辛い越前辛味大根が人気。 その理由は辛味がそばの味や風味をより高めてくれるからです。 辛味大根は通常の大根よりも小さくて丸く、収穫時にはすっぽり土の中に隠れているのが特徴です。

収穫は10月下旬~12月頃。 まさに新そばの時期です。 ちなみに皮付きのままおろすと、 辛味が一層増うようなので、試してみてはいかがでしょうか。
そば畑・そばの花
そば畑・そばの花
旧盆の頃に播種、9月中~10月下旬頃に は、畑一面、可憐なそばの白い花が咲き 乱れる光景が見られます。 その後、茎が 赤くなり、白い花が黒い実になる11月初 旬頃から収穫が始まります。 その頃にな ると風味の良い新そばの登場です。
石臼挽きのそば
石臼挽きのそば
福井県内で栽培される玄そばは、小粒で 皮が薄いのが特徴です。 収穫された玄そばには「福井県産玄十八 (そば)」と書かれた札が付けられ、 温湿度管理の徹底 された倉庫で保管されます。十八で“そば”の理由は、農産品の収穫量などを国が公表する際、 1番目の北海道から数えて福井県は18番目になることから、「十八は、そばと読めるのでは?」 というアイデアから。 そばの実は皮と実に分けられ、実の部分を石臼挽き作業へ。 その時に甘皮も一緒に入れて摺るため、 黒っぽいそばの色となるのです。
昔ながらの低速の石臼挽きは、粉を摺ると同時に、練る作用も含まれています。 そのため粒子も丸いまま製粉され、 そば独特の風味も損なわれないのです。 逆に高速のロール挽きは、 機械で摺りつぶすため、 玄そばの質が低減してしまいます。

上庄里芋

奥越前の風土が育んだ自慢の食材 「里芋」。

独特の歯ごたえと味わい 里芋の煮っころがし


白山連峰から流れでる清らかで豊かな 水、 昼間と夜間の気温差が激しい盆地の気候と、扇状地という奥越前ならではの風土が生み出した 「里芋」。 ぬめりが少なく独特のその歯ごたえに、一度食べたら忘れられないという人も多くいます。また、身が締まり、煮崩れしないのも特徴です。

地元での代表的な伝承料理は、何といっても「煮っころがし」です。醤油とみりんで甘辛く煮込んだシンプルな料理ですが、 しっかりとした味と歯ごたえがあり、ひとつ食べると、ついもうひとつと思わず箸が すすみます。 家庭料理として、老若男女問 わず愛されている一品です。

仏教王国である福井では、 報恩講(「ほんこさん」ともいわれる) という行事が行わ れ、その際に会食される料理にも登場。 また 祭・ 祝事でも、醤油で煮込んだ里芋を入れて炊き上げる「里芋赤飯」 やもち米の中に混ぜこんで作る 「いもぼたもち」 などに使われています。 また、 味噌汁やおでんの具など、地元の人にとっては、日々の暮らしの中で も、切っても切れない食材です。



こぶりながら身が締まっていて煮崩れしないのが特徴。 そのため、 里芋の旨みをしっかりと味わうことができます。 煮っ転がし以外にも、 たっぷりの野菜や油揚げと煮込んだ「のっぺい汁」。 火鉢やストーブであぶって味噌をつけた「田楽」。多様な里芋料理が楽しめます。

福井米(コシヒカリ)

自然の恵みを最大限に生かした米づくり。

恵まれた自然と気候、そして人々の努力と工夫の賜物。

コシヒカリの歴史は、 昭和19年、福井県から始まりました。 当時、 人工交配され たものの、倒伏しやすく、いもち病などの 欠点もあり、注目度は決して高くありませ んでした。

しかしそれから十数年、 幾度もの栽培工 夫と改良を経て、 昭和31年に「越の国に光り輝く米」の願いを込めて、コシヒカリ と命名。以後、全国各地へと広がっていったのです。

昭和54年以来、 コシヒカリは作付面積全国一を誇り、 現在、 作付面積の約37%を占め ています。また、子にあたる 「ひとめぼれ」 「ヒノヒカリ」、孫にあたる「ハナエチゼン」、ひ孫にあたる 「きらら397」 などをあわせると、実に約85%もが 「コシヒカリ」から生まれた品種となります。 福井で生まれたコシヒカリ。 福井県には、コシヒカリのことを把握し、 素晴らしいお米を生産する経験と技術、熱意があります。 そして福井県 独特の気候や土壌、水もおいしさには欠かせない存在です。

福井県で生まれ、 常に全国一のおいしさを目指して作られるコシヒカリ。甘くて艶があり、冷えてもおいしさが変わらないその味は、舌と心に響くはずです。




奥越産コシヒカリ

8月末頃から始まる刈り取り作業。 奥越地方ではコシヒカリやハナエチゼンの他、酒米生産も盛んで、 福井県内有数の産地です。


コシヒカリと言えば、おいしいお米の代名詞。

福井県では、高い品質を目指した米づくりが行われています。

今回は豊かな自然に恵まれた奥越地方で作られる

コシヒカリについてお話を聞きました。


福井県東部の奥越地方は、霊峰白山の支脈と九頭竜川や真名川など豊富な水を蓄えた、 県内でもとりわけ自然環境に恵まれた地域です。ここで育つ農作物はいくつもありますが、 米づくりについては、以前から様々な工夫や努力が行 われ、常においしいお米の生産を目指しています。 中でもコシヒカリは、甘みと粘りと旨みのあるお米として、全国でも人気が高い品種となっています。


その工夫や努力はというと、まずは基本の土づくり。 土を深く起こしたり、 土の中の不足している養分 (リン酸やケイ酸) の補給、 有機肥料を入れて地力を高めたり、手間をか けて素晴らしい土を育てています。 それと同時に、地域の土壌マップも作成。 土を分析し、その土地に適した農作物、 その作り方で“適地適作”を積極的に進めているのです。


奥越産のお米がおいしい理由は、 それだけではありません。


「何よりも自然の恵みのお陰。 奥越の気候や水、 そして土。 すべての要素がおいしさにな っているのです」とは生産者の一人、 帰山さん。

 奥越地方は山間部なので、 平地に比べて一日の気温(寒 暖)の差が大きいのです。 気温のメリハリが農作物を刺激し、 熟されて深みのある味となるのです。

そしてもう一つの自然の恵みは、水です。 福井県を横断し、 住民の生活を支えている九頭竜川。奥越はその上流にあることから、より新鮮で美しい水が得られます。 新鮮な水で あるほど、 お米もその影響を大きく受けるといってもいいでしょう。


自然の恩恵をうけ、生産者の工夫と努力が実って作られる奥越産のコシヒカリ。県内外 で好評なのはもちろん、 食味分析結果でも常においしいとされる数値 (80が目安)をキ ープ。味も安定し、安全で安心なお米として全国でも注目されています。

安心への取り組み

奥越地方で生産されるお米は、収穫後、地域別に整粒歩合 (品質の良いお米の割合)や食 味値(おいしさ) など、 10項目以上もの分析を行なっています。 おいしいと感じる食味 値は80が目安。奥越地方では常にその数値に近い位置をキープしています。

越前がに

福井の冬はやっぱりコレ!期間限定の極上の味

冬の日本海。 寒くなるほどに、 脂がのって美味しくなるのが魚介類です。その中で、冬の味覚の王者と呼ばれているのが福井県の特産品、『越前がに』。その味のファンは全国に多数、 食通もその美味しさを認めるほどです。


今回は美味しさの歴史や理由、 地元シェフ考案の『越前がに』メニュー、東京で味わえる飲食店、 通信販売で人気のカニ商品も紹介いたします。『越前がに』の新たな魅力と美味しさを発見し、 ぜひ、味わってみてください。


越前海岸沿岸、 段々畑状の海底がカニ生息の好環境。


"味覚の王者”にふさわしいその味は、一度食べたら忘れらないほどの奥深い旨味があります。

その旨味の背景にあるのは、 素晴らしい漁場の環境です。


期間限定の逸品。 塩と茹で加減が味の決め手。


漁場の環境の良さが美味しさにつながるわけですが、それをさらにレベルアップさせて くれるのが、塩加減と茹で加減です。

地元に伝わる言葉に、 “カニ見十年、カニ炊き一生”があります。 その意味は、カニの目利きが満足にできるまでには十年かかり、 カニを満足に炊き上げる (茹で上げる)のは一 生かかるということ。それほどにカニの取り扱いは難しいということです。 そして茹で上げる職人は、『越前がに』 の王者たる地位を支えている大切な存在ともいえるでしょう。 ちなみに越前海岸沿岸で獲れるカニには3種類あります。 まずは雄のズワイガニ、『越 前がに』 2つ目は雌ガニのせいこがに、 3つ目はズワイガニの脱皮直後の状態である水がにです。それぞれ漁期も違えば、味も独特です。


美味しさは無限大。 地元ならではの味も斬新で新鮮。


『越前がに』の食べ方といえば、 茹でガニがポピュラーですが、 それだけではありません。例えば刺身や焼きガニ、しゃぶしゃぶ 鍋、 炊き込み飯など様々です。 カニそのものが美味しいのですから、 どんな調理方法であっても美味しさに変わりはありません。 むしろレベルアップされているといえるかもしれません。

さらに地元飲食店では、素材を知り尽くした料理人たちのアイデア溢れる料理も大好評 です。 パスタやリゾット、 ステーキなど、 カニの特性を生かした素晴らしい料理が日々、 研究・開発されています。 ぜひ福井に来て、 定番のカニの他、 アイデア料理もじっくり味わってほしいものです。






越前がに(ズワイガニ)


黄色いタグは『越前がに』の証!

このタグは他産地のカニと区別しやすくするため、 全国で初めて採用され、それ以降、他産地でもタグが導入され始めました。 それぞれに色と形が異なり、一目でカニの産地がわ かります。

足の身を味噌の入った甲羅の中に入れ、 すべてを混ぜ合わせて味わってみると...。今まで味わったことのないカニの 美味しさに出会えるはずです。この味に惚れ込み、『越前がに』 のファンになっ た人も数多くいます。



せいこがに(ズワイガニ)


内子と外子をぜひ! 限定2カ月の珍味

せいこがにとは、 海底230m~250m付近に生息する雌のカニで、 体長は約25cm 前後です。

特徴は何といってもお腹の中。 外子と呼ばれる受精卵はプチプチとした食感が美味。 そして内子と呼ばれる濃い橙色の卵巣は、 “赤いダイヤ”とも呼ばれる珍味です。


ちなみにせいこがには、翌年1月10日前後には産卵が始まるため、 漁期もこの頃まで。 11月6日の解禁日から約2カ月間だけ堪能できる貴重な味といえるでしょう。 大きさはもちろん、価格も手頃なので、地元ではせいこがにを好む人が多く見られま す。


鮮やかな橙色の外子。

ほぐしたせいこがにと大根おろし、 味噌を鍋に入れ、 ひたすら煮るだけの料理、 それが 「せいこのせいげ」 です。鍋が煮立ち、 大根おろしの色が変わってきたら 食べごろ。ご飯にかけても、酒の肴にも最適です。 ちなみに“せいげ”とは味噌を入れた鍋のことで、昔から地元に伝わる郷土料理です。

鍋
茹でた 『越前がに』 やせいこがにの他、魚介類や野菜をたっぷり入れて味わいます。 様々な食材の旨味が染み出た出汁は、ご飯を入れてシメの雑炊に。
茹でる
茹でる
水揚げされた日の気候や状況に応じて塩や時間を調整して茹で上げます。 その絶妙な塩梅が、 カニ身の甘さを引き立てます。
刺身
刺身
カニ刺しとも呼ばれています。 半透明の生のカニを冷水に数秒間浸すと、カニ身が花開くようにフワッと広がります。 ほんのりとした甘みと潮の香りが堪能できます。
焼く
焼く
カニ脚に切れ目を入れて焼くだけ。 ただそれだけなのに、 茹でガニとはまた違う味が楽しめます。 また活きたカニを丸ごと焼き上げる「丸焼き」も地元では好評です。
丼
炊き立てのご飯の上に、 せいこがにの足の身と内子、 外子をたっぷりのせ、カニミソもスープにしてかけて出来上がり。 芥川賞作家であ る開高健氏が愛し、 “海の宝石箱”と形容した老舗旅館オリジナル料理「開高丼」です。

若狭ふぐ

養殖の北限地(嶺南地方)で育つ、 とらふぐが美味しい理由とは。

主に食用とされるふぐの中でも最も美味 しく高級品と称されている、ふぐの王様 が“とらふぐ”です。 福井県はとらふぐの生産額全国六位 (平成20年漁業・養殖業生 産統計年報より) を誇る日本屈指の産地で す。福井県で生産されているとらふぐの主 な産地は敦賀市、 美浜町、 若狭町、 小浜 市、高浜町ですが、これらの地は全国で養殖されている場所の中で最も北限の地で す。そんな日本一寒い場所で生産者たちが 丹精込めて育てたとらふぐは、「若狭ふぐ」というブランドで県内はもちろん、京 阪神を中心とした県外へ出荷しており、 高い評価を受けています。


他県に比べてひと味もふた味も違う美味しさを誇る若狭ふぐが育つ一番の理由は、恵まれた養殖環境が挙げられます。 3〜5月の嶺南地方は、雪どけ水により他地域に比べて低水温の期間が長い。 そんな冬の期間の過酷な環境と冬場でも比較的穏やかな波の場所で養殖された若狭ふぐは、身が締まり、旨みを十分に蓄えるのです。


敦賀市色浜で若狭ふぐを養殖している中井さん。 毎年多くの観光客が訪れる敦賀半島の 水島の入り江に養殖場はあります。「自分の目で選び抜いた極上の稚魚を生簀に放し、毎日ふぐの健康状態を見ながら、 最高のエサを与えています。 養殖場は海の中ですから、自然環境に合わせて、エサやりを工夫していますね。水温が下がってくる出荷時期に、最高の若狭ふぐを食べて頂けるように育てます」。


若狭ふぐは、高級魚のトラフグで身が引き締まり甘みがあるのが特徴で11月~3 月がシーズンです。 若狭ふぐは、地元の旅館や民宿、 料理屋さんで楽しむことができます。 冬の期間、 多くの食通たちがこの味を求めて若狭を訪れます。


ふぐの煮付け
ふぐの煮付け
ふぐ料理の定番といえば、 てっさやてっ ちりですが、産地ならではのアイディア 満載のふぐ料理を教えて頂きました。 特に女性の方に好評な一品なのだそうです。骨から美味しいダシが出る、一押しの料理。
若狭ふぐのにぎり
若狭ふぐのにぎり
若狭ふぐのたたき
若狭ふぐのたたき

甘えび

口の中に広がる特有の香りと甘み。 光り輝く朱色は鮮度抜群の証。

福井県の底曳き網漁の主な漁港の一つ、 三国港では、9月から10月までと3月から6月までが「甘えび」 の盛漁期を迎えます。 年間で約210トンも水揚げされる「甘えび」 は冬の方が身が締まり、おいしいといわれていますが、11月からは、カニ漁の季節を迎えるため、 「甘えび」漁に出ている期間が長いのは9月から10月になり、この時期に集中して操業。水揚げされた 「甘えび」は、かにと同様に子持ちや大きさ、品質によって厳しく選別され、 港に着くとすぐにセリにかけられます。 船の帰港時間に合わせて、 港には 次々と仲買人や鮮魚店の人たちが集まり、 次第に活気を帯びていきます。


「甘えび」は腹に青い粒状の子がある ” 子持ち “が最も高値になります。 その次は”子なし"と呼ばれる大きなサイズのもの。 三国町特有の呼び方、 "さぶろう “は三男に三郎と名付 けることが多いことから、 中サイズで3番目に値が高いので、 そう呼ぶのだそうです。 その下に小サイズの”じゃみ “と続きます。


越前がにや若狭ふぐとともに、 福井県の冬の味覚を代表する逸品 「甘えび」は、思わず うっとりしてしまうような艶やかな朱色をしています。 ひとたび口に入れるとほのかに感じる潮の香り、とろっとしたまろやかさと甘味が広がります。 何もかもが特有の味と食感 です。 海底がきれいな近海の水深200m〜 500m付近の砂泥地で捕れたものは粘りや甘みが独特です。


鮮度の良し悪しは、体色によって見分けることができます。 透明度が高く、頭が黒っぽくないものが良質です。 また生きたままや水揚げしてすぐのものよりも、一晩寝かしたほうが甘みが増し、よりおいしく食すことができるのだといいます。


底曳き網漁(海底にいる甘えび、かになどを網で曳いて捕る漁業)の中で、 「甘えび」 の水揚げ高が福井県で最も多い三国港。 今の時期は甘えび漁で活気づいています。

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