ふく旅

あわら温泉「灰屋」140年の伝統に裏打ちされた気品と風格、特別感に浸る休日を。

創業明治17年当時の趣が今もなお受け継がれる、あわら温泉の老舗旅館「灰屋」に実際に泊まって体感した感動と注目ポイントを詳細にレポートする。本物の温泉旅館を求めるあなたに大人の宿泊体験を。

あわら温泉「灰屋」140年の伝統に裏打ちされた気品と風格、特別感に浸る休日を。

ちりり

ディープな福井を愛する独身アラサー。
趣味・特技:ひとり食べ歩き飲み歩き
主な生息地:片町のスナック
あっと驚く福井の新発見を、一緒に楽しみましょう!

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ちりり

せっかくなら、一生忘れられない旅を、老舗旅館「灰屋」で。

さて突然ではあるが、あなたには「忘れられない旅」があるだろうか?

若い頃の私は、限られた時間の中で可能な限りたくさん観光地をコンプリートしようと、色々なところを周った。

しかし今は思う。旅とは行った場所の数ではなく、旅先でどんな心動かされる体験があり、そこでどんな時間を過ごしたか、だと。


今回は、関西の奥座敷として名高い、福井県あわら温泉の老舗旅館「灰屋」で過ごす癒やしと感動の特別ステイを皆様にお届けしよう。

玄関をくぐると、そこに広がる別世界

あわら温泉の歴史とともにある「灰屋」の歴史は明治時代に遡る。


創業明治17年当時の趣を残し、宮大工が手掛けた玄関を抜けるとまるで大きな絵画のような日本庭園が眼前に広がる。
樹齢100年の松を使った格天井や木曽ヒノキの丸柱に圧倒されていると、支配人の山内さんが教えてくれた。

  • 壁一面に広がる日本庭園
  • 悠々と錦鯉が泳ぐ池

変わりゆく時代の中でも、灰屋は創業以来守り続ける伝統を受け継ぎ、きめ細やかな心遣いで「本物の旅館」で過ごす体験をお客様に届けることを大切にしているそうだ。

どんな体験が待っているのかワクワクしながら、今回のお部屋へとご案内いただく。

  • はにかんだ笑顔が素敵な支配人の山内さん

こんなお部屋は見たことがない

お若いスタッフさんが、お部屋まで案内してくれた。

お部屋の扉を開けてびっくり、こんなお部屋があっていいのだろうか。

気品漂う和室の奥に佇むのは、まるで庭園の池の上に浮かんでいるかのような、和の趣あふれる広々としたテラス。

お部屋を囲む池を独り占めしながら、スタッフさんが淹れてくださったお茶とあわら銘菓をいただく。

ああ、最後にこんなに丁寧なおもてなしを頂いたのはいつだっただろうか。新鮮なほど懐かしい。

客室のお茶はティーバックではなく、茶葉からお茶を淹れることができるのも個人的には嬉しいポイントだ。

  • 仲居さんがお茶を淹れてくれた

池には金や紅白の立派な錦鯉が悠々と泳いでおり、なんとも言えない特別感に心癒される。

日常を離れ、鯉を眺めながらこの大きな縁側で優雅な時間を過ごすには、一泊二日ではもったいないほどだ。

和室とテラスだけではない。和室のふすまを開けると、そこには広々としたベッドルームが。

こちらにもテーブルと椅子、テレビが設えられ、2世帯でわいわい過ごすにもうってつけのお部屋だ。

ベッドルームからメインの和室を介さずトイレに直接アクセスできるよう設計されており、夜トイレに起きるのが不安な方でも安心してお泊りできるという心配りがありがたい。

今回、宿泊したお部屋「曲水」がある松風庵は、伝統ある庭園付き離れ。
全室それぞれ造り、設えが異なるそうで、何度訪れても新たな楽しみに出会えるということだ。


あわら温泉は過去に大火に見舞われ多くの旅館が再建を余儀なくされたが、幸い「灰屋」はその被害を免れ、この伝統ある家屋を今に伝えることができているのだという。すっかりこのお部屋の虜になってしまった私であるが、今度は他のお部屋も体験してみたい・・・そんな浮気心がくすぐられる。

  • 特別なお部屋でいただくお茶は格別
  • 部屋着は浴衣か作務衣かで選べる
  • お部屋とお庭がインフィニティ
  • 冷蔵庫に地元のワインが
  • おもてなしに心が潤う
  • 広々した洗面所は気持ち良い

心遣いが伝わるお食事に、心躍る

お食事処に進むと、待っていたスタッフさんが私の名前を呼んでご案内してくれた。

新鮮な驚きだった。こういうとき、お部屋の番号を伝えてご案内いただく場合がほとんどだと思う。

なぜ私だとわかったのか、スタッフさんたちは常にお客さんのことを考えて動いているのだろう。


お食事は個室スタイルで、広々としたプライベート空間で気兼ねなく楽しむことができる。

季節の香り漂う一品一品は、どれも新鮮で丁寧で、目も心も舌も終始ドキドキしっぱなしだ。

このお料理はなんだっけとお品書きを眺めながら福井の地酒と一緒に料理を口に運ぶ。う〜ん、これがまた格別だ。

  • 食前酒と春の先付け
  • 地元の食材を使った料理の数々
  • お刺身はとびきり新鮮だ
  • このあんどん、なんと大根の薄切り!
  • 朝ごはんには肉厚の温泉かれい
  • 仲居さんが焼いてくれました

お夕食の最後を締めくくる春香るデザートは、新人の料理スタッフさんが手掛けたものだそうだ。

料理を運んでくださるスタッフさんとの温かい会話を通して、料理を作っている方々のことが目に浮かぶ。

  • 作っている様子が目に浮かぶ
  • 地酒の飲み比べ、頼まない手はない

ゆったりしすぎて時間が足りない温泉エクスペリエンス

あわら温泉の特徴の一つは、各旅館がそれぞれに源泉を持っていることだ。


灰屋の自家源泉から湧き出る天然温泉でゆったり温まり、露天風呂で開放感に浸りながら何も考えない特別な時間を過ごす。

朝と夜で男女お風呂が入れ替えになるので、ぜひどちらもお楽しみいただきたい。

そのまま眠りにつきたいところだが、こちらのお楽しみの一つに「トルマリン岩盤浴」があるのだ。

気軽に無料で利用できるもので、ゆったり横になっていると体の芯からじんわり温まり、ついウトウトしてしまう。

  • 心地よさにうとうとしてしまう

今回、宿泊した「曲水」は露天風呂付きのお部屋ではないのだが、お部屋の中にこれでもかと大きな高級感漂う贅沢なお風呂があり、ここ露天風呂付きのお部屋だったかなと思わず確認したくなったほどだ。露天ではないが、窓からはお庭の鯉を眺めることができ、これを「部屋風呂」と呼ぶのはいささか恐れ多い

  • お部屋のお風呂にはもったいないほど
  • お部屋のお風呂でも大満足

伝統に裏打ちされたしつらえと心遣い

館内を探検していると、それはまるで小さな美術館のようだ。

140年の歴史と伝統を彷彿とさせる調度品、壁にかけられている絵画、江戸時代に遡る越前藩主のついたて…。

  • 江戸時代中期の福井藩のついたて
  • 先代から伝わる貴重な品の数々
  • すべてが灰屋の歴史を物語る

ちょうどあわら温泉開湯140周年ということで、あわら温泉や灰屋の歴史を振り返るギャラリーも用意されている。

140年記念の「灰屋記念祭」特典もあるので、ぜひチェックしてみてほしい。(2024年6月30日まで)。

館内にはお香や生花、冷たい飲用の温泉水など、さり気ない心遣いが行きわたっている。

そして何度廊下を歩いていても飽きないのは、調度品もさながら、歩くたびに綺麗に整えられた庭園が窓の外に見えるからだろう。

一体いくつあるんだろうと思わせるほど、あちらこちらから見えるお庭は、この特別な宿泊体験を縁取るさり気なくも重要な立役者だ。

  • 館内どこからもお庭が見える
  • 冷たい源泉水はいつでも飲める
  • お庭を眺めながらの喫茶コーナーも

バリアフリーであるというおもてなし

家族で旅行に行くとき気になるのは、みんなが困りごとなく楽しめるか、という点だ。


灰屋のバリアフリーに対する心遣いには目を見張るものがある。

ちょっとしたところの手すりやスロープ、靴を履くところにある腰掛け、お部屋のお手洗いやお風呂の広さなど、「あらゆるお客様の目線に立った」心遣いが各所に光っている。

バリアフリー対応の客室も用意されており、家族のお祝いや旅行の行き先として安心して訪れることができるだろう。

  • お部屋の座椅子には膝掛けと肘置きが。
  • お部屋はお香や生花などで心地よい
  • お部屋の入り口は広々、手すりや腰掛けも
  • お部屋のトイレも広くてバリアフリー

伝統旅館のぬくもりに浸る贅沢な旅へ

あっという間にチェックアウトの時間。部屋の錦鯉たちとの別れも名残惜しい。

バックミラー越しに見えなくなるまで手をふってお見送りをしてくれたスタッフさんたちの温かさに、2日間のさまざまな感動が脳裏を駆け巡り、心がじんわり温かくなるのを感じた。


まるで別世界に足を踏み入れたかのような一泊二日の旅。伝統という言葉の裏に、最高の時間を作り上げようとするスタッフさんたちのたゆまぬ努力と熱意を垣間見た気がした。


旅館を出るとき、ひときわ笑顔が素敵だった若きスタッフさんに、どうしてここで働こうと決めたのかと不躾ながら質問した。

人を喜ばせることに興味があり、それを追求したいと思って働いていると輝く笑顔で教えてくれた彼はきっと、素敵な人たちと一緒に働いているのだろうな、そう思いながら旅館をあとにした。


今度の旅行は、あわら温泉 灰屋で忘れられない温泉旅はいかがだろうか?

ちりり

ディープな福井を愛する独身アラサー。
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