超トガッた蕎麦屋「勇蔵」でおまかせコースを食べたら衝撃だった話【福井市】
あなたは今までの人生で蕎麦屋さんの概念を超える蕎麦屋さんに出会ったことはありますか?

ちりり
ディープな福井を愛する独身アラサー。
趣味・特技:ひとり食べ歩き飲み歩き
主な生息地:片町のスナック
あっと驚く福井の新発見を、一緒に楽しみましょう!

これだから人生は面白い
このお蕎麦屋さんを知ったキッカケは、なんと遠く離れた奄美の知人からの急な電話だった。
「今ね〜福井の人が来てるの!福井でお蕎麦屋さんをやってる方で、勇蔵そばって知ってる?ぜひ行ってみてよ〜!」
というなんとも奄美らしい陽気な電話がかかってきたのは1月のことだった。
福井人の私が奄美人から福井の蕎麦屋さんを紹介されることになろうとは、これだから人生は面白い。
それから何度か「勇蔵トライ」をしてみたのだが、いつも予約がいっぱいでなかなかタイミングが合わず、ようやく訪問できたのは、もうすぐお盆に差し掛かる8月初旬のことだった。
念願叶ってドキドキの初訪問
お店は車通りの多い「西環状線」に面したビルの1階にあるが、道路に面していない反対側のテナントに入っているためか、驚くほど静かでひっそりとしている。
レトロでモダンな青いドアをそうっと開けると、そこはもう別世界。
ビルの外装からは想像できないほど小綺麗で居心地良い空間が、ひっそりと広がっている。
席は満席でも窮屈な雰囲気は一切なく、こだわって選ばれたであろう素敵なインテリアにぼうっと見とれてしまい、めちゃくちゃ落ち着く。
女将さん(とお呼びしていいのだろうか?)は、すぐに笑顔で「勇蔵おまかせ蕎麦ランチ」をおすすめしてくれて、他にも飲み物やその日の特別お寿司オプションなんかも案内してくれた。
うむ、食べる前からもう好きになってしまいそうだ。
ドンドコ出てくる蕎麦コースの概念を超えた料理の数々
ここからはもう怒涛の驚きと感動の嵐だった。
サラダを皮切りに、コースのお料理たちがどんどん出てきてあっという間にテーブルを席巻した。
この日のコースの内容は「土鍋炊きごはんの温玉ごはんor海鮮手巻き寿司、貝汁、サラダ、本日のかき揚げ、さつまいも天、おろしそば」…なのだが、この文字の羅列からは到底伝わらないほどどれも新しく、ユニークで、滋味深い。
女将さん(と呼ばせていただきます)は、ひとつひとつのお料理や、それに合う調味料?を丁寧に説明してくれる。
そう、料理それだけでも驚きの連続なのに、テーブルの脇には勇蔵こだわりの手作り醤油麹、選ばれしオリーブオイル、ここでしか見たことないへしこのこ(粉)などが並んでいるのだ。
で、ちゃんとサラダにはこれをかけても美味しいですよ、とか、おそばにはこれもこれも合いますよ、など説明してくださるのだが、どれも試してみたくて、好奇心が忙しくあちこち跳ね回る。
マンガ風に表すと(?)、目が「キラキラ」になったり「星」になったり「ε」になったり「=」になったりする感じだ(どんな感じだ)。
ふくいの味「おろしそば」も、一般的なおろしそばとは全く違う勇蔵のおろしそばで驚いた。
大根のシャキシャキ食感と蕎麦の旨味、あっさりしつつも甘みのあるお出汁の一体感がたまらない。
おいしさに関しては私の語彙の範疇では到底説明してもしきれないので、実際食べに来てほしい。
勇蔵の代名詞「鰹節」の音に囲まれる
で、色々喋ってきたが、勇蔵を体現しているのはなんと言ってもこの削りたての鰹節だ。
みなさんは鰹節を削って食べたことがあるだろうか?
筆者は小さい頃、鰹節を削るカンナみたいな「かつお削り箱」が家にあって、それをばあちゃんがしゃーこーしゃーこー削っていた。
で、それがなんともいえず美味しいので、指でつまんでは食べていた。
で、ここ勇蔵では、この見目麗しいガラス製の「特注スペシャル削り箱」で今削ったばっかりの削り節を、曲げわっぱに入れて提供してくれるのだ。
この鰹節を削るやさしい音が響き渡るお店の中で蕎麦をすする贅沢と言ったら…ここでしか味わえない特別なひとときだろう。
蕎麦にはもちろんのこと、土鍋炊きごはんやサラダとも相性抜群ということで、贅沢に乗っけて味わわせていただいた。
もちろん、鰹節それ自体も鹿児島産のこだわりの逸品だ。
よく考えたら、カツオって元は魚なのにこんなに旨味が凝縮されたカチコチの宝石みたいな塊になるの、すごいなぁ。
素敵な器にこだわりの酒…唯一無二の蕎麦屋ここにあり
ほかにも勇蔵の個性は色んなところに光る。
大切に金継ぎされた美しい器や蕎麦猪口、キンキンに冷えたジョッキでいただくオリオンビール、季節感感じる日本酒の数々、南国感あふれる焼酎…
蕎麦屋なんだけど、蕎麦屋と思って来たら、蕎麦屋の概念では収まりきらない感情に圧倒されるそんな気持ちだ(いやどんな気持ちだ?)。
そして勇蔵御夫婦の料理にかける真剣なまなざしと温かい雰囲気に、どっぷりファンになってしまった。
冒頭でなかなかタイミングが合わず行けなかったと話したが、勇蔵さんのInstagramをチェックして、事前に予約すれば大丈夫(むしろ今までぶっつけで伺っててすいません)。
今度は昼飲みで予約しよう。
また新しい楽しみが増えてしまって、嬉しいなあ。




























