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【ふく旅 酒トレイル】福井の酒蔵をめぐる「#02 福井市・越の磯酒造」 海とともに歩んだ115年

福井の酒蔵をめぐるシリーズ「ふく旅 酒トレイル」。第2弾は、福井市大宮に蔵を構える「越の磯酒造」。
創業は明治42年、今年で115年の歴史を持ち、元々は海沿いの越廼村にあったことからその名が付きました。漁村に根ざした酒は、いまも海の幸と寄り添う味わい。ブリや鯖など、福井ならではの濃厚な魚介に合わせて醸される「辛口旨口」の酒について、蔵元に伺いました。

【ふく旅 酒トレイル】福井の酒蔵をめぐる「#02 福井市・越の磯酒造」 海とともに歩んだ115年

HIR☺︎

福井生まれ福井育ち生粋の福井人。写真歴は20年以上。嶺北奥越を中心に福井県内の風光明媚な名勝奇勝を撮り歩いてます。

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社長であり杜氏でもある礒見さんにお話を伺います。まず「越の磯」という名前の由来を教えてください!
創業は明治42年(1909年)。元々は越廼村(現在は福井市に編入)という海に近い場所に蔵があり、そこから「越の磯」と名付けられました。現在は福井市の中心にほど近い大宮に移っていますが、いまも多くの浜の方々に飲んでいただいています。

海とともにある酒造り

海辺で生まれた酒なんですね。味わいの特徴は?
もともとお得意先が漁村の方々でしたので、海の幸に合う酒を造ってきました。福井の海はブリ、鯖、赤身魚など濃厚な魚も美味しい。
そうした味に合うように、辛口で旨口、どっしりとした酒が特徴です。今の流行は“すっと飲みやすい酒”ですが、うちは昔ながらの「魚に負けない酒」を守っています。
福井は古代「御食つ国(みけつくに)」と呼ばれ、朝廷にも海産物を献上していた海の幸の美味しい県ですからね! その海の幸に合うお酒っていうことですね!
  • 夏の生酒

酒米と味わいの変化

使用する酒米はどういうものですか?
基本は福井県産酒米です。代表的な五百万石、越の雫、さかほまれを使っています。
特に「さかほまれ」はここ数年の新しい福井の酒米で、作り方にもよりますが五百万石などに比べるとソフトで甘口寄りになり、女性や日本酒初心者にも飲みやすい仕上がりになりますね。
お酒の種類や季節ごとの楽しみ方を教えてください!
新酒は12月半ばから出ます。そこから2月ごろまでが旬です。逆に夏に向けては、アルコール度数をやや低めにした生酒を冷やして楽しんでいただけるようにしています。
また、最近は熟成酒にも挑戦しています。熟成させると色が濃くなり、紹興酒に似たような雰囲気になってくる。
国内だけでなく、最近は海外にも輸出をしてますが、海外のほうが熟成させるワイン文化があり、受け入れられやすいですね。
日本酒の熟成ですか!飲んだことないので想像できないです!
熟成酒の「刻がさね」は国際的な品評会でも金賞受賞しています。テイスティングノートとしては、「クレームキャラメル、ハチミツ、魚醤の香りなどなどの風味がある」とされていますね。複雑な味わいが特徴です。

20年熟成 IWC金賞受賞の熟成日本酒「刻がさね」

日本酒と福井の海の幸

越の磯のお酒に合う福井の食を挙げるとどうでしょう?お土産に食べ物も合わせるとすれば!
おすすめはやはり海産物ですね!こってりした蟹味噌や塩ウニはすごく合います。それに焼き鯖や鯖寿司の旨味にも負けません。
福井のイメージは薄いかもしれませんが、寒ブリやフクラギ(ブリの小さいもの)も福井の港で美味しいものが獲れ、すごく合いますよ。
刺身でも焼き物でも、濃厚でしょっぱい系の味には、うちのような辛口でコクのある酒がぴったりです。
  • 蟹味噌はこってりとしていて 辛口で濃い口の酒が合わさると旨味の相乗効果

越の磯のもう一つの顔 ― ビール

実はビールも造られているとか?
はい、1990年代後半の地ビールブームの頃からビール造りもやっていました。
長い間福井県嶺北では唯一の地ビールメーカーで、最近は少しずつ増えてきています。日本酒と合わせて、越の磯の“もう一つの味”も楽しんでいただけたらと思います。
【越前JURASSICビール】は福井の「いちほまれ」というお米を使っていますよ
  • 福井のブランド米「いちほまれ」を使った【越前JURASSICビール】

どこで買える?

県外の方がお土産に買うなら、どこで入手できますか?
ハピリン(福井駅西口複合施設)・くるふ福井(駅商業施設)・福井県内の「道の駅」などで購入できますよ!
いろんなところで手に入りますね!

福井の酒の特徴、これからの挑戦

最後に、福井の酒全体についてどう見ていますか?
福井の水は軟水で酒造りに適しており、ちょうど良い水質です。新潟が「淡麗辛口」と言われますが、福井の酒は味わいの深い辛口が多いのが特徴だと思います。
石川とも近く、味わいは似ている部分もあります。ただ、日本国内の消費量は減っていますし、若い世代はアルコール自体を飲まない方も増えています。そんな中で、輸出や熟成など個性を出すことがこれからの課題です。小さな蔵でも、地方から世界に届けられる酒を目指していきたいですね。

海とともに歩んできた酒蔵、越の磯酒造。

115年の歴史のなかで培われた味は、福井の海産物に寄り添う辛口旨口。流行に迎合せず、漁村の食文化とともに守られてきた“海の酒”です。

福井の美味しい海産物、蟹味噌や鯖寿司とともに、越の磯の一献を味わってみませんか?


HIR☺︎

福井生まれ福井育ち生粋の福井人。写真歴は20年以上。嶺北奥越を中心に福井県内の風光明媚な名勝奇勝を撮り歩いてます。

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