ふく旅

酒と食で解く小浜の魅力!小浜酒造と若狭の食を巡る大人旅

“御食国(みけつくに)” 小浜で唯一の酒蔵「小浜酒造」。その歩みや、若狭の食と一緒にに味わう地酒の魅力を周辺の周遊スポットとともにご紹介します。日本酒好きな方に贈る、まさに「大人の福井旅」です。

酒と食で解く小浜の魅力!小浜酒造と若狭の食を巡る大人旅

のじのじグルメ

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古くて新しい酒蔵「小浜酒造」

福井県の南西部に位置する小浜市は、古くから朝廷に豊富な海産物などの食材を献上する“御食国(みけつくに)”として京の食文化を支えてきた全国屈指の食処。


そして、この歴史ある食の町で唯一の酒蔵が、今回ご紹介する「小浜酒造」です。


小浜酒造は、一度は消えかけた小浜の地酒の灯を再びともした酒蔵。伝統を受け継ぎながら新しい味を造るその魅力を紹介していきます。

地酒の灯を消さないために

小浜酒造の吉岡社長。年齢を感じさせないほどアクティブで社交的な方です 

小浜酒造のルーツは1965年。現・吉岡社長の実家である吉岡酒造と、若狭町の熊川宿にある母方の逸見(へんみ)酒造が合併し、「わかさ富士」が誕生しました。

狭い土地なので、競争するより合併したほうがいいだろう、という当時としては柔軟かつ大胆な判断でしたが、吉岡さん自身は、家業を継ぐより外の世界へ出たい気持ちが強く、蔵を継いだのは従妹でした。


その後、時代とともに日本酒市場は縮小。国内酒類に占める日本酒のシェアは、かつての40%から7%にまで減少したことに合わせ、酒蔵の数も大幅に減少しました。


転機は2012年。70歳で小浜に戻った吉岡さんは、従妹である社長から「わかさ富士を廃業したい」という相談を受けます。

そのとき強く感じたのが、「小浜から唯一の酒蔵を無くしてはいけない」という想いでした。


こうして吉岡さんは、娘婿で現杜氏の高岡取締役とともに事業承継を決断します。


だが、その道は平坦ではありませんでした。現会社をそのまま引き継ぐのではなく、“新たに酒造免許を取得する”という日本酒業界では極めて異例の方法を選択。国税局との気の遠くなるような協議、保健所の基準を満たすための蔵改修、杜氏探しにも難航しながら、約2年にも及ぶ準備を経て、2016年に「小浜酒造」が誕生しました。


  • 酒米の蒸し器
  • 製麹室
  • 仕込みタンク
  • 吉岡社長から仕込みの特徴を伺う
  • もろみ搾り機
  • 火入れ・冷却・充填機

小浜の“水”にこだわり 様々な“人”の関わり

小浜酒造の酒造りにおいて、最も大切にしているのが“水”へのこだわり。

南川の伏流水に加え、名水百選にも選ばれた海辺で湧く「雲城水」、今富地区の井戸水など、3種類の水を使い分けたお酒を造っています。


高岡杜氏いわく、同じ小浜でも水の表情は異なり、それが酒の個性に直結するということです。

それぞれの水の柔らかさやミネラル感を感じながら飲み比べするのがお薦めです!

  • 「純米吟醸わかさ」はルクセンブルクの日本酒コンクールで最上位賞を受賞
  • 小浜の海辺に湧く名水百選「雲城水」を使った「百伝ふ(ももつたう)」
  • 今富地区の酒米と井戸水を使った濃厚辛口の生原酒「岳颪(やまおろし)」

小浜酒造の看板商品「わかさ」は、若狭の酒米、南川の伏流水、福井県で開発されたFK酵母を使用した、まさに地元尽くしの一本。どっしりとした米の旨みを感じつつ、酸味も合わさって後味は爽やか!


使う水によって全く違う顔を見せるのですが、どのお酒を飲んでも感じるのは、“食中酒”としてのポテンシャルの高さ!

最近流行りの華やかさを前面に押し出すタイプではなく、米の旨みがしっかりと広がる深い味わい。若い酒蔵らしい荒削りな魅力もあり、これからどんな酒に進化していくのか楽しみになる味わいです。


小浜酒造には、海外から蔵人が集まるというユニークな一面も。最初に入社したのは、青森県八戸市で教師をしていたアメリカ人。その後もフランス、メキシコ、カナダなど、日本酒を学びたい外国人が蔵で働いてきました。


その流れもあり、現在はアジアだけでなく、ヨーロッパや北中米など10カ国へ輸出。海外でもその個性的な味わいが少しずつ評価を高めています。


今後の展開について、高岡杜氏は「これまでの日本酒の概念にこだわらず、新しいことにも挑戦していきたい。まずは小浜の地酒をもっと広めたいですね」


【小浜酒造】

■住所 福井県小浜市中井18-34

■営業時間 9:00~17:00

■定休日 土日祝

若狭の魚と地酒を味わう「旬彩厨房 吉のぶ」


小浜酒造の魅力を地元の食材に合わせて実感するために訪れたのが、JR小浜駅近くの「旬彩厨房 吉のぶ」。

小浜の食材をふんだんに使った料理と若狭の地酒が豊富に揃う、地元民に大人気の和食居酒屋です。

  • (左)小鯛のささ漬け (右)サワラあぶり
  • へしこのバーニャカウダ

小鯛のささ漬け、サワラあぶり、へしこのバーニャカウダ——。

若狭らしい料理に合わせたのは「純米吟醸わかさ」。爽やかな酸味が魚の甘みを引き立て、へしこの塩味も驚くほど軽やかな後味に変えてくれます。

  • 日本酒きき酒セット。今回は小浜酒造の3種飲み比べをチョイス
  • タコ酢

小浜の海辺で湧く、名水百選にも選ばれた「雲城水」を使用した、やわらかな甘みを持つ「百伝ふ(ももつたう)」。こちらは、タコ酢と好相性。酢の酸味をふくよかに包み込み、箸も盃も自然と進みます!

  • 穴子正油漬
  • 若狭鹿肉のロースト

一方、「熊川宿」は端麗辛口ながら米の旨みがしっかり。穴子醤油漬けや若狭鹿肉のローストと合わせると、旨みが重なり、奥行きのある味わいに。

  • 山菜天ぷら
  • 国産ニンニクと厚切りベーコンピザ

そして、今富地区の酒米と井戸水を使った濃厚辛口の生原酒「岳颪(やまおろし)」。山菜天ぷらや厚切りベーコンのピザと合わせれば、力強い香りと旨みがお互いを高めあい、止まらない美味しさ!(実際食べすぎました)


お酒も料理もオール小浜という局地的地産地消!小浜の風土は酒と食が揃って初めて完成する。そんなことを飲みすぎてぼんやりした頭で実感した夜でした。

【旬彩厨房 吉のぶ】

■住所 福井県小浜市駅前町2-8

■営業時間 17:00~23:00

■定休日 水曜

酒を軸に巡る、小浜の大人旅

小浜酒造を中心に小浜を巡るなら、1泊はマスト。

ここからは、小浜酒造、吉のぶとセットで巡ってほしい街歩きスポットを紹介していきます。

①伝統の米酢を造り続ける「とば屋酢店」

昼下がりに立ち寄ったのは、創業1710年の「とば屋酢店」。こちらでは300年以上 “壺仕込み静置発酵”という昔ながらの製法を守り続けています。


福井県産米と地下水を使い、壺の中で酢酸菌を自然発酵。完成までに約4カ月という時間をかけて育まれた酢は、角がなく、驚くほどまろやか。


酢も酒も、目に見えない菌の力と、土地の水、そして人の手によって造られているんですね。

へしこもそうですが、この町には“発酵文化”が深く根付いていることに気づかされます。


【とば屋酢店 本店】

■住所 福井県小浜市東市場34-6-2 

■定休日 日曜日、祝日、年末年始など

直営店では、無ろ過純米酢「にごり酢」を購入。さらに人気の「お酢蜜ソフト」もいただきました。


酢を使ったソフトクリームと聞いて少し尻込みしましたが、口にすると印象は一変!

酢の酸味はやわらかく、アカシア蜂蜜の甘みと香りが重なり、驚くほど奥行きのある味わい。旅の途中にぴったりのスイーツです。

【とば屋酢店 酒井店(直営店)】

■住所 福井県小浜市小浜酒井95 

■営業時間 9:30~17:30

■定休日 月曜、不定休

②人魚伝説の象徴「マーメイドテラス」

夕方には「マーメイドテラス」へ。人魚伝説“八百比丘尼”にちなむ海辺のテラスで、夕日に染まる若狭湾を眺める時間は格別。散歩する地元民も多い、小浜随一の癒しスポットです。


【マーメイドテラス】

■住所 小浜市小浜日吉(人魚の浜東駐車場横)  

③小浜の旬魚をお土産に「若狭小浜お魚センター」

翌朝は、小浜漁港で水揚げされた魚が並ぶ、一般客も購入可能な卸売市場「若狭小浜お魚センター」へ。12軒の海産物専門店が並ぶ通りには、鯖をはじめ、若狭の旬の魚がずらり!新鮮なままクール便で送れますので、自宅で小浜酒造の酒とともに旅の続きを楽しみたいですね。(午前中がお薦めです)

【若狭小浜お魚センター】

■住所 福井県小浜市川崎2丁目5-1 

■営業時間 7:00~(閉店時間は店舗により異なる)

■定休日 不定水曜および年始

 

④小浜酒造の全銘柄が揃う「道の駅 若狭おばま」

旅の最後には「道の駅 若狭おばま」に立ち寄るのも忘れずに。小浜酒造の全銘柄が揃い、焼き鯖すし、へしこ、小鯛のささ漬けなど、若狭の味覚も充実しています。ドラマで話題となっている宇宙食仕様の鯖缶も。

  • 外観
  • 充実のお土産エリア
  • 小浜酒造をはじめ、福井の地酒がずらり
  • 小浜酒造のお酒を使った若狭ふぐのひれ酒も発見!
  • ドラマで話題の宇宙鯖缶コーナー
  • どんな味か興味が湧きます

【道の駅若狭おばま】

■住所 福井県小浜市和久里24-45-2 

■営業時間  9:00~ 18:00 

■定休日 不定休(年末年始ほか)

一杯の酒が、旅を深くする


その土地の酒を知ることは、その土地の風土や文化、人の営みに触れることでもあります。

小浜酒造の酒には、若狭の水と食、そして地酒の灯を守り続けてきた人たちの想いが詰まっていました。

小浜を訪れた際は、ぜひ地酒とともに、この町の奥深さを味わってみてください。


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