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【潜入レポート】新施設!一乗谷朝倉氏遺跡博物館を徹底解説

3つの重要文化財に指定されている一乗谷。
既存の「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館」の向かいに「一乗谷朝倉氏遺跡博物館」が2022年10月1日オープン。
その見どころをご紹介します。

【潜入レポート】新施設!一乗谷朝倉氏遺跡博物館を徹底解説

本多啓介

「ふくいで思い出に残る一枚を」をコンセプトに福井県内の観光地で写真を撮っているカメラマンです。勝山市を中心に観光情報を発信中。地元住民ならではの目線で福井の魅力を写真と文章で伝えます。

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本多啓介

「一乗谷朝倉氏遺跡」とは

JR福井駅から車で20分程度。

福井市一乗谷にある朝倉氏遺跡は、戦国時代に越前国を支配していた朝倉氏が栄華を誇った城下町跡です。

103年間にわたって支配していた城下町の武家屋敷・寺院・町屋や道路などの街並みがほぼ完全な姿で発掘され、現在は国の重要文化財・特別史跡・特別名勝に指定されている貴重な場所。


これら3つの指定を受けているのは、金閣寺や銀閣寺といった有名な場所ばかり。全国でも数少ないスポットなのです。

大河ドラマ「麒麟がくる」では、明智光秀や将軍が滞在したりしていましたね!
織田信長に敗れ焼失したシーンは見ごたえがありました!

一乗谷の凄さが分かる「一乗谷朝倉氏遺跡博物館」が2022年10月にオープン

今回ご紹介する「一乗谷朝倉氏遺跡博物館」は2022年10月1日にオープンしました。

道の駅「一乗谷あさくら水の駅」に近く、一乗谷に行く道中に位置しているので、一乗谷朝倉氏遺跡を観光する前にはコチラに立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

見どころ【1】遺構展示室

こちらでは博物館建設時にこの場所から発掘された石敷遺構がそのまま展示されています。

この石敷遺構は長さ38m、幅5.6mの巨大な遺構。

土砂で埋まって浅くなった川を横断するように河原石が並べ敷き詰められています。


この場所は川湊「一条の入り江」と呼ばれています。

足羽川からの荷物を荷下ろししていた「船着き場」という説と、ぬかるんだ川を渡るために石が敷き詰められた「道路」という説が考えられています。



キーワード【安波賀】とは

戦国時代、この博物館が建つ地区は「安波賀(あばか)」と呼ばれていました。

一乗谷へと続く入口に位置するこの場所は、城下町一乗谷と外界との接点。


足羽川の水運を利用した船着き場の周りには倉庫や商店が立ち並び、市場も開かれて大変賑わったそう。

その賑わいは京の都からやってきた公家たちも見物に訪れるほどだったそうです。

本物の遺構が実物大で展示されているので感動しました!

見どころ【2】映像付き!巨大ジオラマ

博物館の2階に上がると、展示室の中心には遺跡内の城下町が再現された巨大ジオラマが!


遺構の発掘調査から、朝倉館と家臣団の屋敷を中心に城下町が計画されていたことが分かっています。

このジオラマでは遺跡内の城下町を1/30スケールで再現

南北に貫く幹線道路沿いに50件以上の町屋がならび、武士や商人、職人など多種多様な職業の人が生活していたといわれる城下町の様子が、細かなところまで丁寧に再現されています。

ジオラマの中で屋根が空いている住宅は職人の仕事場。

いろんな職業があったことがわかりやすく展示されています。

人々の動きや生活の様子も細かく再現されており、まるで今にも動き出しそうです。


手前のモニターでは

・ジオラマ内をストリートビューで探索

・職人たちの作業や仕事の解説

・現在の様子との比較

などが楽しめました。

見どころ【3】朝倉館復元模型

一乗谷の栄華を物語る、5代当主 朝倉義景の居館の一部が、なんと原寸大で復元されています。

つまりココを歩けば、戦国時代に朝倉義景公たちが生活していた様を体験することができるんです。


義景公と同じ目線、同じ視点で建物を鑑賞・体験することで、朝倉氏が育んだ文化水準の高さを理解することができるのではないでしょうか?

戦国衣装の着付け体験コーナーもありました!甲冑や着物を身に付けて写真を撮るのも良さそうですね!

「ふくいブルー」と言われる笏谷石(しゃくだにいし)


室町時代、足利将軍や公家たちは邸宅に好んで花壇をつくらせたそうで、朝倉館にも中庭に花壇がありました。

復元館にも真ん中に花壇があり、越前和紙によって作られたスイセンやキクが植栽してあります。


そして花壇の石はホンモノの笏谷石。

福井の足羽山でしかとれない笏谷石は「ふくいブルー」とも呼ばれ、美しい淡い青色と柔らかな質感のきれいな石です。

福井城の石垣や、寺社や家屋の礎石として使われており、現在も福井県内の古い家屋には残っていたりします。


一乗谷でも、朝倉館や井戸枠、石臼などに使われており、一乗谷の都市景観に欠かせない大切な要素。

河原石や笏谷石などをまちづくりに活用した文化とストーリーは日本遺産にも登録されているので、その深い歴史ロマンをぜひ感じてください。

実は屋根の上にも笏谷石があったとされ、イミテーションですが再現されていました!
言われないとなかなか気づかないので、みんなに教えてあげよう!

その他の見どころ:障壁画プロジェクト

復元朝倉館に入って右手にあるこちらの和室。

室町時代の書院造建築では襖などに水墨画が好んで描かれており、朝倉館にも障壁画を配した部屋があったことが知られています。


復元された朝倉館の和室に描かれている水墨画は、京都にある大徳寺真珠庵にある「四季花鳥図」を模写したもの。

こちらの水墨画は朝倉氏のお抱え絵師と同じ曽我派の絵師によって描かれたものなので、復元された朝倉館の障壁画として採用されました。

和室には障壁画のほかにも、押板の飾り(掛軸と香炉・燭台・花瓶からなる三具足)の展示がされていました。


こちらの掛け軸は、足利義昭が一乗谷で元服した際の様子を伝えるもの。

三具足は、滋賀県にある聖衆来迎寺(しょうじゅらいこうじ)のものを復元の対象にしていました。


また照明は上からの電球ではなく、当時を再現した燭台スタイルになっており、趣とこだわりが感じられてステキでした。

復元館に採用されている錺金具(かざりかなぐ)は、一乗谷の出土品や室町時代後期の建物に残る金具などを参考にし、復元されたそうです。
金具の色は襖絵の水墨画と合わせるために黒色にしているのがポイント!

通常展示スペースも見どころが満載

1階:基本展示室


1階にある基本展示室には一乗谷の大まかな歴史がわかりやすく解説されている動画があります。

時間はおよそ7分ほど。

ちょっと長く感じるかもしれませんが、動画を観てから博物館を回ると理解がスムーズになるのでオススメです。

英語での字幕もあったので、外国の旅行者にも安心ですね。

その隣には壁面で一乗谷の歴史年表と俯瞰地図が展示されていました。

先の動画の中で気になったポイントを熟読するもよし、俯瞰地図を見ながら一乗谷の全体を把握するのもよいでしょう。


人が混み合っていなかったらタッチパネル式のモニターにも触れてみてください。

見どころスポットの解説はもちろん、地図の種類を変更することで、樹々に覆われて見えづらい遺構施設や古墳が見つけやすくなります。

1階:探求ラボ


探求ラボでは実際の発掘調査で使われている器具や研究の仕組みが解説されています。

実際に使われているものに触れて、使い方や調査手法を体験できるとても良い機会ですよ。


「発掘調査って地面を掘って探すだけでしょ?」と思うなかれ!

ここでは

・どのような器具を使って調査しているの?

・顕微鏡でなにを調べているの?

・そもそもどんな流れで発掘調査は行われるの?

などが解説されています。


読んでいると、実は知っているようで知らないことばかり!

子どもから大人まで楽しめるエリアでした。

2階:通常展示


巨大ジオラマ展示と同じフロアにある展示スペースには、発掘調査で見つかった土器や銅銭、木工道具や調度品などが所狭しと並べられていました。

また、朝倉氏の刀剣やおもてなしに使われていたとされる食器類、花器などの展示はどれもきらびやかで朝倉文化の華々しさを感じられます。


私が展示の中で目を引いたのは大人一人が余裕で入れそうなほどの越前焼の大甕(おおがめ)

発掘調査によると、越前焼大甕の底部が整然と並んだ遺構が発見されており、飲料水の貯蔵やお酒の醸造、藍染などに使われたと考えてられているそうです。

個人的には表から見ても裏から見ても透けずにイラストが見られるスクリーンの展示にびっくりしました。

入口にあるカフェ”CARAMON”で休憩

一乗谷朝倉氏遺跡をモチーフにした軽食やデザートが楽しめる館内カフェ「CARAMON」。

一乗谷の風景を楽しみながら地元食材をふんだんに使用したメニューを味わえます。

わたしが展示スペースから出たときにはもうオーダーが終わってしまっていたため今回は注文できず残念でした。


気になるメニューは「CARAMON御膳」。

伝承料理である「黒豆ごはん」「あえまぜ」を取り入れた”現代風朝倉膳”で、メイン食材は季節によって変更されるそう。

また「CARAMONパフェ」は福井県の銘菓、羽二重餅や県産フルーツを使用し、出土品であるゴブレットに見立てた器でいただくゴージャスな一品。


座席数はあまり多くなさそうなので、並ぶのを想定するか早めに利用するのがよさそうですね。



営業情報

営業時間 10:00~16:00(L.O15:30)

定休日 朝倉氏遺跡博物館に準ずる。

ドリンク類はテイクアウト可能。


ミュージアムショップで記念のお土産を購入しよう

一乗谷朝倉氏遺跡博物館に展示されている所蔵品や障壁画、朝倉氏の家紋、また展示に登場するキャラクター「シンカゲ」「おコマ」などがデザインされた商品がずらりとありました。


商品はTシャツからポストカード、越前和紙で作られた御朱印キットや越前織で作られたマグネットなど福井らしさが詰まったものまで。


私はせっかくだったので開館記念の御城印をGET!

一部商品はオンラインショップで販売していますので、こちらも確認してみてください。

アクセス

電車の場合

JR福井駅から電車(越美北線)で15分「一乗谷駅」下車。徒歩3分。


バスの場合

京福バス「福井駅西口」⑤番のりばから62系統(一乗谷東郷線)で25分。


車の場合

北陸自動車道「福井IC」から国道158号線を大野方面へ。約10分。

東海北陸自動車道「白鳥西IC」から国道158号線を福井方面へ。約60分。

詳細情報

住所

〒910-2151

福井市安波賀中島町8―10(旧・福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館の向かい)


開館時間

9:00~17:00(オープンは16:30まで)


休館日

毎週月曜日、年末年始

※特別展示等の開催中は休館日が変更になることがあります。ご注意ください。


基本展示観覧料

一般 700円

高校生 400円

小中学生 200円

70歳以上350円

※団体(20名様以上)は2割引き

※年間パスポートあり

※特別展の観覧料は別に定めます。

※クレジット、QR、バーコード決済対応


【基本展示観覧料が無料になる場合】【2割引になる場合】【特別展示観覧料が半額になる場合】は上記の画像をご確認ください。


駐車場

普通自動車140台

大型バス10台

駐輪場10台


なお入館には事前予約が必要ですので忘れずに予約ください

(4部制、各時間上限600人)

近くにある復元町並の入館料は大人330円なので、一乗谷朝倉氏遺跡博物館とセットで購入するととってもお得ですね。

一乗谷朝倉氏遺跡博物館に行ってみよう

潜入レポートとして新施設「一乗谷朝倉氏遺跡博物館」の魅力をご紹介しました。

今は遺跡しかない原っぱが広がっている一乗谷ですが、博物館をめぐると一乗谷朝倉氏遺跡の価値や魅力、その背景まで理解することができると思います。


一乗谷にお越しの際は、まず先に「一乗谷朝倉氏遺跡博物館」に足を運んでから、一乗谷をお楽しみください。

本多啓介

「ふくいで思い出に残る一枚を」をコンセプトに福井県内の観光地で写真を撮っているカメラマンです。勝山市を中心に観光情報を発信中。地元住民ならではの目線で福井の魅力を写真と文章で伝えます。

本多啓介

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